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【怖い話】大学帰りにはいつも。毎日のように歩道に立つお婆さん

私が大学入学を機に一人暮らしを始めた頃の話です。
私は大学から一番近い、自転車で約5分ほどで行き来できるアパートを借りていました。
一回生だったので必修科目が多く、サークルでの付き合いもあったので帰りが夜遅くになってしまうことも少なくありませんでした。

 

そんな私が毎日のように自転車で通っている歩道ですが、ある日ふとあることに気が付きました。
歩道にいつも同じお婆さんが立っているのです。しかも毎日同じ服を着ています。
お婆さんは何かをするわけでもなく、ただずっと歩道に立っているだけです。
少し不気味でしたが、恐らく認知症の方だろうと思っていました。
本来なら、お年寄りが一人でずっと外に居るのは危険なので警察に相談すべきだったでしょう。
しかし、まだ二十歳にもなっていなかった私はその発想は出てきませんでした。
ただ立ち尽くすお婆さんの前を自転車で通り越すだけでした。

しかし、そのお婆さんは常に微動だにせずそこに立っているのです。
大学の帰りが夜遅くなっても、やはり彼女は居ました。

 

毎日同じ服を着ているし、食事や排泄などもきちんとできていないのではないだろうか?
少し不安に思った私は大学の友人にそのお婆さんの話をしてみました。
「いっつも同じお婆さんが歩道に居るんよ」
私がそう言うと、友人はこう提案しました。
「それ危なくない?今日一緒にちょっと声かけてみようよ」
その友人は行動力のあるタイプで、どちらかというと引っ込み思案な私を引っ張ってくれる存在です。
確かに友人の言う通り、ここは声をかけてみるべきなのかな、と思いました。
しかし、それが更なる恐怖の始まりでした。

「あのお婆さんやで」と私はお婆さんを指差して言いました。
私は友人と一緒にお婆さんに近付きました。
「お婆ちゃん、一人でずっと居ったら危ないで。家に帰りや」と友人がお婆さんに声をかけます。
お婆さんは「うん、うん」と相槌を打つばかりで、会話が成り立ちません。
そのときのお婆さんはずっと笑顔でしたが、なんとなくその笑顔が不気味だったのを覚えています。

異変が起こったのは次の日の朝です。
いつものように自転車で大学へ向かっていましたが、やはりあのお婆さんは歩道に立っていました。
しかし、立っている位置がいつもと違うのです。
いつもは郵便局付近に立っているお婆さんでしたが、そのときは郵便局から少し離れた位置に立っていました。
どうしたんだろう、と思いながらも私はお婆さんの前を通り過ぎ、その日の講義を終えました。

サークル活動が終わり、私は帰路に就きました。
しかし、またお婆さんの立っている位置が変わっているのです。
……何となく、私のアパートの方角に近付いているような気がしました。

 

怖くなった私は、その日の夜に例の友人にお婆さんのことをメールしました。
友人の返信は「明後日講義ないから一緒に警察に行こう」といったものでした。
少し安心しました。

次の朝、大学へ行こうとするとやはりお婆さんの位置が変わっていました。
しかし明後日までの辛抱だと考えるとこれまでのような恐怖はありませんでした。

事件が起きたのはその日の夜です。
いつものように夜遅く帰宅しようとした私でしたが、いつも居たはずのお婆さんが居なくなったのです。
「さすがに誰かが通報して警察に保護されたんだろうな」と思いました。

しかし、お婆さんは居なくなったわけではありませんでした。
私のアパートの部屋の前に、いつもと同じ服装で、いつものように立っていたのです。

私はすぐさまその場から逃れ、警察に通報しました。
思った通りお婆さんは認知症を患っているようで、警察に保護され、それ以来現れることはありませんでした。

しかし、あのとき私のアパートの部屋の前に立ち、「あなたのお友達が家に帰りやって言うたけん」

と言ったお婆さんの不気味な笑顔。そして私の住んでいる部屋を知られていた恐怖。
それは今でも忘れることができません。


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